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司令室は牢獄区から1番遠い位置にある。長い長い廊下をひたすら歩き、やっとの思いで司令室へ辿り着いた。
「失礼します…と。」
守は扉を押し開き、入室した。華里奈もそれに続く。
「椎羅木君。遅いわよ。」
すると世界地図が映し出されたモニターの前に本田の姿が見受けられた。
やはり随分と待たせてしまったようだ。表情と口調で分かる。
「守はさっきまで牢獄区にいた。大目に見てやってくれ。」
「牢獄区?じゃあ…しょうがないわね…。こっちに来て。早く始めたいから。」
何を始めるというのだろうか。…気になるが、あれこれ予想している暇は無い。足早に本田の元へ向かった。
「…って、お前らもか。」
どうやら呼び出されたのは自分だけではないらしい。明彦、翔、夏美の3人の姿もあった。
「いつまで待たせる気だ馬鹿者!僕は忙しいんだ!」
…ご立腹の様子。明彦は機嫌が悪いととことん近づき難くなる性分なため、ここは敢えてシカトするべきか。
「さっき牢獄区にいたって言ってたんだしー、華里奈の言う通り大目に見てあげようよー。」
守の心の内を察した翔が宥めに入ってくれた。正直助かる。
守は目で翔に礼をした。(意思が通じたかは不明。)
「花村。大丈夫なのか?」
守の背後では華里奈が心配そうに夏美に声を掛けていた。
理由はというと、夏美は最も恐れていた事態……人を撃つ事へのトラウマに駆られてしまっているのだ。
この2週間、あまり食べ物を食べておらず、自室で1人になると体の震えが止まらないらしい。
目の下に大きな隈を作ってしまった処を見ると、睡眠すらマトモに取れていないようだ。
「大丈夫…。何ともないから…安心して。」
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