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すると本田はモニターの下にある引き出しから何枚もの紙がホチキス止めされている冊子を取り出し、守達へと配った。
その冊子の題名は…『マフィア エクスターミネーターズ概要』。
「必ずそれを頭に入れておくように。分かったわね。」
本田さん………あんたの口から説明する気は無いんだな。
まあ…この冊子は結構厚い。一から全て口で説明していては日が暮れてしまうのだろう。
「それじゃあ解散して良いわ。それとその内容は訓練生や保護してる一般人には絶対に言わない事。良いわね?」
そう言い残すと本田は振り返り、去ってしまった。
「………。」
手元にぽつんと残された冊子。読書が苦手な守には少々きつい。普通に口頭で説明して欲しかったというのが本心だ。
その時、
「じゃあね。」
夏美が素っ気なく別れの一言を発し、司令室から出ていった。
「……口数減ったな。あいつ。」
夏美は戦闘員には向いていないのだろうか。その優しい性格が故に。少なくともあのトラウマに打ち勝つ事ができなければ………到底無理だろう。
「……俺も行くねー。じゃ、後でー。」
今度は翔が駆け足で、夏美を追うように司令室を出た。
「おっと、僕もこうしちゃいられない!」
そして明彦も。
「あ?どうした?」
「何だって良いだろう!僕は貴様のように暇じゃないんだ!」
そう言い捨て明彦も退室。この見下すような言動に対しては、随分と慣れたものだ。
華里奈はというと…既に冊子をパラパラとめくり、黙読を開始していた。
「……俺も読むか…。」
守も意を決し、嫌々ながらも冊子の表紙をめくった。
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