MAFIA EXTERMINATORS

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こんな大人と性欲丸出しでグラビアアイドルを見ている暇は無い。即座に本を束ね、更に奥へと向かった。 そして……… 「…見つけたー…。」 ついに発見した。…夏美を。 夏美は床に座り広辞苑並に分厚い本をひたすら読んでいる。 両耳にはイヤホンが。大音量で歌を聴いているようだ。翔の接近に全く気付いていない。 見ると口が小刻みにせわしなく不気味に動いている。歌を口ずさんでいるのか、本の内容を呟いているのかは不明だ。 「夏美。ちょっと良いー?」 聞こえているかは分からないが、とりあえず気付いて貰わなければ。 夏美の目前へ歩み寄り停止する。 「………ぁ。」 どうやら気付いたようだ。夏美はイヤホンを外し、翔を見上げた。 「やっほー。元気ー…じゃないみたいだけどー…。」 「元気だよ。」 極めて素っ気ない返事。 「そ、そうだよねー……はは…。」 空気が………重い…。 夏美を元気付けに来たつもりだったが…こっちが凹みそうだ。 「……何の用?」 「あ、いや、たまたま夏美を見付けたからねー。」 「…そう。」 「うん…。」 いつもの夏美の明るさが微塵も無い。どのように元気付ければ良いのだろうか…。 自分の不器用さに虫酸が走る。 「……ねぇ、翔君。」 今度は夏美から口を開いた。 「何ー?」 「どうして皆……簡単に人を撃てるの…?」 ………え?
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