MAFIA EXTERMINATORS

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重く冷たい口調。 まるで夏美の心境をそのまま表しているかのような…。 「そりゃあ私達は戦闘員で……人を撃たなきゃいけない事は分かってるつもり…。でも……何であんな抵抗もできないような人を平気で撃てるの?」 夏美は人殺し訓練の話をしているようだ。トラウマの元凶である、人殺し訓練の話を。 「それは…しょうがない事だし…。」 「しょうがないから…?翔君も明彦君も守君も!!無抵抗の人を殺して何にも思わないの!?しょうがないからって!!どうして平気で撃てるの!!?あんなの……ただの虐殺だよ…!!」 溜まりに溜まった何かを叫び声と共にぶちまける。 確かに翔自身にも躊躇いや拒絶の意志はある。初日から3人も撃ち殺した守に対しては恐怖に似た感情さえ覚えた。今もう…何とも思わないが…。 しかし… 「俺達は戦闘員になるために頑張ったんだし…今更人殺しを躊躇ってるんじゃ駄目だよ。」 そもそも訓練生になった時点で理解していた筈だ。戦闘員の、やるべき事を。 捕虜だろうが何だろうが敵は敵。いざ戦場に赴いた時のため礎とするために有効に利用するのは当然だ。 「でも……でも…ッ!!」 夏美の両目から大粒の涙がぼろぼろと流れ落ちる。 自らへの不甲斐なさから…だろうか。 「もう……どうすれば良いのか………全然分からない…。」 「夏美…。」 そんなに嫌なら戦闘員をやめれば良いだけの事。 だが、そんな事言えない。 死に物狂いで戦闘員を志していた夏美を目の前に、言える訳がない。 「……ごめん…。元気付けようとしたのに……余計な事しちゃったね…。」 「…え?」 「…じゃあ…もう行くよ。じゃあね。」 翔は振り返り、足早にこの場を立ち去った。 ……情けない…! 傷を癒すつもりが…逆に塩を撒いてしまった…! 情けない!情けない!! ボロボロの仲間1人救えないなんて…! ……畜生ッ…!! 司令室 「これは…!」 「本気なの…?こんな…!」 一台のノートパソコンの前で驚愕の声をあげる本田と坪内。 先日マフィアに買収された暴力団事務所に保管されていたフロッピーディスクを強奪し、解析を進めていたのだが…。とんでもない計画が発覚した。 「スクールジャック計画…!」 学校1つを…乗っとる計画が。
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