スクールジャック

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スクールジャック

12月15日 午前8時14分 西野組暴力団事務所 「準備できたか?」 暴力団事務所のカーテンが閉められた暗い一室に佇む1人の若い男が言った。 「いえ…も、もう少し…。」 側に立っている…いや、立たされているというべきだろう。暴力団員の1人と思われるスーツ姿の人物が恐る恐る返答を返す。 「チッ。マジ遅ぇな……!チンタラすんなよウスノロ共が……!」 「し、しかしですね…。」 「しかしじゃねぇんだよ。…っとにマジ使えねぇな…。」 その時、 「テメェか!!勝手に上がり込んで好き勝手やっとる輩は!!」 事務所中に響く怒号。 組長、西野だ。 「っるせぇな…。つべこべ言ってる暇あったらテメェも準備手伝ってやってくんね?」 男に怯んだ様子は無い。極めて冷静だ。 「喧しい!!タマ(命)取られとぅなかったら、とっとと出て行きやがれァ!!」 「……まさか組長さんが知らねぇ訳ねぇよな?テメェらは俺らが買収したって事。俺がここで好き勝手したって問題なくね?」 「アァ!?んなモン知るかァ!!!」 西野は懐からナイフを取り出し、男へ飛び掛かった。 切っ先が男の左胸目掛けて一直線に伸びていく…が。 ガッ! 「ぅぐっ!?」 ナイフは空を切った。外したのだ。 それと同時に西野の体全体が急停止する。 男に首を絞められているという現状に気付くまで、しばらく時間を要した。 「テメェ、マジ常識なくね?契約には従ってもらわねぇと色々困っちゃうんだよね。」 「が……ぁが…。」 呼吸ができない。手に握られていたナイフが力無く落下した。 「言っとくけどさ、俺らはテメェらの任侠だとか仁義だとか、ぶっちゃけどうでも良いわけよ。要は使えるか使えないかなわけよ。分かる?」 「……か……。」 「…テメェはどうすっかな…。マジ邪魔だしな…。そうだ、こうすれば許してやるよ。……俺にナキ、入れてみ(助けを乞うてみろ)?」 「ざけ…る…な…。」 「……ハッ。」 ダァン!! 男は片手に握っていた拳銃で発砲。弾丸は西野の額を貫いた。 「テメェらは黙って従えば良いんだっての。これ以上俺達 アルジャーノ ファミリーの面汚しすんの、やめてくんね?」
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