スクールジャック

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同日 午前8時21分 とある高校へなだれ込むように登校する生徒達。 そんな中、他の生徒同様制服を着用し、鞄を片手から下げて立ち尽くしている……守の姿が。 制服の感触。鞄の重み。友達と共に学舎へと登校する生徒達の話し声。 全てが懐かしい。 そして、この高校に来る事も。 そう。ここは半年前まで守が通っていた高校だ。 懐かしいと同時に、人生という歯車が狂い出した場所でもある。 今でも鮮明に思い出せる。 教師だと思っていた者達の血生臭い…あの光景を。 あんな事さえなければ今頃は普通に学校生活を送れていた。…いや、そう考えるのは止そう。 制服も鞄も風景も懐かしくとも、今日を除いては自分はもうここには戻れないのだから。 「懐かしいか?」 守の横に並んで立っている華里奈が言った。 制服姿で右手に鞄、左肩に剣道部員が持ち歩きそうな細長い、竹刀用の入れ物を担いで。 この入れ物に収納されている物は竹刀ではなく、おそらくは刀だ。 「俺にそんな事考えてる暇なんて無いだろ?」 「そうだな。…行くぞ。」 2人は校門をくぐり、高校へと入った。 それは、昨日の事。 本部 司令室 『任務?…俺に?』 真夜中だった。守が自室で熟睡している処を無理矢理起こされ、司令室へと強制的に赴かされたのだ。 どうやら…初任務の話らしい。 『そうだ。正確には華里奈と2人でな。』 『ふ、2人!?そんな少人数で!?』 銃火器を手に大人数で突撃していくイメージが強かった。まあ、勝手なイメージだと言われればおしまいだが。 『今回は少人数じゃなきゃならん。場所が場所だからな。そして守君、おそらく君が適任だ。』 『俺が…?新人戦闘員の俺がか…?』 『ああ。今回の任務は、君が通っていた学校で行われるからな。』 ……は? 眠気が消えた。
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