スクールジャック

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『あの場所にいても怪しまれず、構造を全て熟知している者が必要だからな。』 と、淡々と話す古賀。 『待った!勝手に話進められても…!そもそも何であの高校なんだよ!?』 あの学校は表向きには教師全員が一夜にして失踪した事になっている筈。 そんな場所で…また…! 『だからこそだ。一度目を付けた学校なら奴らも動きやすくなるって魂胆じゃないか?』 『そんな理由で!?…ふざけやがって…!』 『奴らの目的は学校の占拠だ。君達は奴らが行動を開始する前に阻止してくれ。』 『テロリストかよ…!マフィアだからってやり方が無茶苦茶だ!とにかく全員始末すれば良いんだろ?』 寝起きだからだろうか。感情の高ぶりが尋常ではない。 『できれば数人を捕縛してきてくれ。スクールジャックなんかする理由が気になる。華里奈は転入生って事にしておくから、よろしく頼むぞ。』 そして、今に至る。 制服で外見では分からないが腰にはホルスターに納められた拳銃が二丁と、服の下には防弾チョッキを着込んでいる。 ちなみに防弾チョッキは少人数での任務にのみ着用を許されている。数が足りないからだ。 高校へ潜入するのは守と華里奈だけだが、不測の事態に備えるため高校の周囲には一般人のフリをした数人の戦闘員が配置されている。 2人は下駄箱にて上履きに履き変え校舎へと上がった。 「計画を確認する。ターゲットの捜索は1時間目の授業開始前から。発見し次第排除か捕縛だ。……勿論、誰かに見られるような場所で暴れるな。」 と、華里奈。 「ああ。」 「連絡は無線ではなく携帯電話だ。校内で無線で話している処を見られては怪しまれる。」 「分かってる。」 しかし意外だった。華里奈が携帯電話を持っていたのは。 だがそのデザインには若干引いた。 ストラップの1つも無い、全体的にどす黒い携帯電話。 とても自分と歳が近い女が持っているような物とは思えなかった。 「私は職員室へ行ってくる。一応、転入してきた事になっているからな。」 「ああ。教室でな。」 「いや、待て。」 「ん?」 「場所が分からない。案内してくれ。」 …。 散々説明したじゃねぇか…。 方向音痴だから仕方ないのかもしれないが…まあ、方向音痴の原因を思えば責める訳にもいかない。 素直に…案内しよう。
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