スクールジャック

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「椎羅木!?」 「ぅお!マジに来てる!」 義一の背後から佐瀬 敦志、田口 大介が駆け付ける。 美奈はわずか数秒にして一体何人呼んだのだろうか。 「よく来たな守。来いよ。聞きたいことが山ほどあるんだ。」 と、義一。 …聞きたいこと?まさか…。 俺が教室に入った途端、それは爆発した。 「連絡取れないから心配したんだぞ?元気だったか?」 「田舎の学校ってどんなとこ?教えて教えて!」 「今日しかここにいれないのか……またひょっこり顔出したりするんだよな?」 「田舎の女子って可愛いの?」 「僕の事覚えてる……わけないか…。」 質問の嵐!!! そ、そんなに詰め寄るなお前ら…。ブレザー1枚の下には拳銃が…拳銃が…!拳銃を見られたらホントまずいから詰め寄るなってば…! 常に一定の距離を取りつつ返答をしながら15分。 ホームルームの時間となったため、義一達を含め生徒は各クラスへ散っていった。 「なあ、俺の席ってどこだ?」 席替えをしたのか半年ぶりでは皆の席の位置が全然違うため、自分の席の場所が分からない。美奈に聞いてみるが……。 「わかんないけど…1番後ろに追加されたあの席じゃない?」 「いやあれは華……転入生のだろ。」 …危うく華里奈と言ってしまうところだった。 華里奈は偽名で潜入することになっているのだが、これでは意味がない。 「え?転入生って守じゃないの?」 その時、 ガララッ 「ホームルーム始めるぞ。全員席に着け。」 このクラスの担任と思われる渋い高齢の教師が入室した。 あの一件により新たな教師達が就く事になったらしい。故にこの教師の事は、守は知らない。 「先生!守の席が無いみたいなんですけど…。」 「ん?…あぁ、君が今日1日だけここで過ごすっていう椎羅木君か。石川が欠席だからその席に座りなさい。」 「あ、はい。」 鞄を降ろし席に座る。……嗚呼…机の感触も懐かしい。 「それでは転入生を紹介する。入れ。」 ガララッ 担任の呼び掛けと共に…華里奈が入室した。 数人の生徒達が僅かにどよめく。 緊張しているのだろうか。華里奈の動きがぎごちない。顔を僅かに赤らめてもいる。 そういえば華里奈の偽名を聞かされていない。どんな名前なのだろうか。 「自己紹介してくれ。」 「……はい。」 華里奈は小さく息を吸い込み、偽名を名乗った。 「お…小田原 カリー…です。」 誰だよ。
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