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男の目前には……いつの間に抜いたのだろうか、微量の血液が付着した刀を振り切った華里奈の姿が。
男の腕を斬り落としたのだ。
「喚くな。」
そして華里奈は悲鳴をあげ続けている男の左胸を捉え、
ドッ
刀を、深く深く突き刺した。
……まずは1人。
毒々しい血液をとめどなく流れ出させながら仰向けに倒れ込む男。叫び声は呻き声へと変貌を遂げていた。
その時、
「何だ!何があった!?」
騒ぎを聞き付けた数人の男がプール方向から、こちらへ駆け付けようとしている姿が見受けられた。
呆気なく斬り殺されたこの男の仲間だろう。
「チッ!」
一斉に相手にするのは些かマズい。
舌打ちを1つすると更衣室のドアを開き、飛び込んだ。瞬間、
チュイン!!
「くッ!」
弾丸が足元の床に命中、火花を散らし跳弾した。
更衣室の奥にも1人潜んでいたようだ。サングラスを掛けた男が、サイレンサーを取り付けた拳銃を構え、佇んでいる。
チュイン!チュイン!
背後の壁に2発が跳弾した。
立ち止まっていては撃たれるだけだ。華里奈は姿勢を低くし、走り出した。
そして懐………ブレザーの胸ポケットに忍ばせている手投げ用ナイフを掴み、
ヒュッ
投げる。
ナイフは素早く一直線に飛び、
「ぁぐあッ!!」
男の眉間へと突き刺さった。
速力を落とさずに更衣室の壁へと走り、窓を開く華里奈。
そのまま窓を飛び出しプールサイドへ降り立った。
フェンスに囲まれているプールサイドの更に内側に設置されている最長25メートルのプールには、日光をキラキラと反射している綺麗な大量の水が溜められている。
…何故このような季節に水が溜められているのだろうか。まさか冬に水泳授業を行っているのか、この学校は。
「な、なんだテメェはッ!!」
すぐ背後には窓からの突然の登場をキメた華里奈に驚き、慌てて拳銃を構えようとしている男が。
どうやら男の頭上を飛び越えたらしい。華里奈自身、若干驚いている。
だが撃たせる暇は与えない。即座に振り向き、
「ひあっ…!」
脇の下に刃を入れ、心臓ごと斬り裂いた。
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