スクールジャック

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プールの中は…温かい。温水だ。 どうやら季節が季節なだけに水温管理もきちんと施されているらしい。 しかし、随分と深い場所に落下してしまったようだ。足が底につかない。 水面を目指して泳ごうとした、その時だった。 ドボン… 上から、またもや何かが落下してきた。 ……ナイフを持った、あの男だ。 男の意志で落下したのか、はたまた別の理由かは定かでは無いが…あちらが上にいる以上こちらが不利だ。 突然の落下のため酸素を肺に溜め込む余裕がまるで無かった。早急に浮上し、呼吸を行わなければ…。 だが…男がそれを簡単に許すわけがない。 身動きの取りにくい水中であるにも関わらず、ナイフを華里奈に突き刺そうと向かって来た。 長いことマフィア エクスターミネーターズとして戦って来たが、水中戦など初めてだ。しかし、応戦するしかない。 華里奈も力いっぱい刀を突き出した。 刀とナイフの圧倒的リーチ差は…言うまでもない。 刀の切っ先がナイフを持つ男の手を捉え、深い裂傷を刻んだ。 裂傷から噴き出した血液が文字通り血煙となって温水に混じってゆく。男は堪らずナイフを水底へ落とした。 このまま更なるダメージを与えようと、刀を押し出す…が。 「……ッ…!」 刀が動かない。 ………どうやら暴力団という肩書は伊達ではないらしい。 あろうことか男は鋭利な刃を握り締めていた。 華里奈はなんとか振りほどこうとするが……全く離れない。 その時。 (……しまった…!) 激しく振り回したためか…刀を手放してしまった。 武器が無くなってはただの少女同然だ。男は刀を放り捨て華里奈へ急接近。首を掴み、更に潜水し…水底へ押し込んだ。 「…!……!!」 駄目だ。苦しい。 口を開き、目を細め、苦悶の表情を浮かべている華里奈を見た男は、勝ち誇ったような笑みを零している。 男の方はまだまだ余裕のようだ。このままでは窒息死は免れない。 ……仕方がない。 1人は捕縛したかったが、そんな余裕は無くなった。 華里奈は胸の内ポケットからナイフを強引に引っ張り出し、 ザッ 男の頸動脈を深々と斬った。
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