スクールジャック

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華里奈は男を押し退け、真っ直ぐ水面へ向かった。 落としてしまった刀の回収は後回しだ。今は優先すべき事は酸素の供給のみ。 サバァッ! 「ぷはぁっ!」 ……そして、水面へと浮上した。 「ゲホッ!ゴホッ!ゴホッ!………ハァッ…ハァッ…ハァッ…ハァッ…!」 やっとの思いでの呼吸。 肺に送り込まれた酸素が血液に乗り全身へ行き渡る感覚が非常に心地良い。 もう一度息を大きく吸い込み潜水。底に沈む刀を引き上げ、再び水面から顔を出した。 後方には…首がバックリと裂け、大量の血を流しながら仰向けで浮かび上かっている男の姿が。 華里奈はそんな物には目もくれず、プールサイドへと上がった。 服が水を大量に吸収してしまっているため、非常に重い。そして何より… 「………寒い…。」 冬と呼ぶに相応しい冷気と吹き抜ける風により、服に吸われた温水が急激に冷やされたのだ。 垂れそうになる鼻水を啜りながら、既に亡き者となった男達の合間を縫うように歩いて行く。 そしてプール出入口前に放置したままとなっているケースを開け、携帯電話を掴んだ。 念のためここに置いておいて良かった。ポケットに入れたまま向かっていれば…今頃は水により破損していただろう。 慣れた手つきで素早く番号を打ち、通話ボタンを押した。 掛けた先は………高校の側に停車しているワゴン車にて待機している、処理班だ。 「…私だ。プールで敵を発見し、排除した。」 処理班の仕事は………簡潔に言えば、証拠隠滅。 死体や撃ち出された弾丸などを早急に跡形も無く処理するための部隊だ。 「……ああ、頼む。」 ピッ 華里奈は通話を切るとスクールジャック阻止のため、再び捜索に乗り出した。
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