29145人が本棚に入れています
本棚に追加
/568ページ
文化祭準備室
「お前ら…何でここにいるんだよ…。」
敵だと思い込み勢い良くドアを開け放った先にいたのは…義一、敦志、大介の3人だった。授業をサボってこの場で雑談をしていたのだろう。
肩透かしを食らわされた気分だ。
「お、おい……守…。」
若干声が震えている義一。一体どうしたというのだろうか。
だがこの後、守は自分の無神経さを強く怨むことになった。
「その手に持ってるヤツ…何だ?」
「あ?」
手に持ってるヤツ?
………まさか…。
「……ッ…!!」
何をやっているんだ、俺は。
一般人の目の前で堂々と拳銃を握っていたのだ。
「それ銃かよ?」
と、大介。
「ば、馬鹿!おもちゃだよ!おもちゃ!」
守はすぐさま拳銃をホルスターにしまった。
「はは、だよな!銃を両手にサバイバルゲームか!」
「ま、まあ…そんな処だ。じゃあな!」
そして振り返り、部屋を飛び出した。
廊下を駆けていく守。
……まずい処を見られた。
任務中に一般人を巻き込む事態は、何としても避けなければならない。
下手をすれば自分と同じ運命を辿る事に成り兼ねないのだから。
「そういえば椎羅木も授業サボってたのか。」
と、敦志。
「あー、そーいや…そうだな。」
守は授業を投げ出すような性格では無かった。一体どういった風の吹き回しなのだろうか。
「田舎の学校で何かあったんじゃないの?」
「多分そうだな。……義一、どうした?」
「………いや。」
1人浮かない表情で床に座り込んでいる義一。
「……守、何かあったのかと思ってな。」
「? 何かって?」
「あいつ…俺らに対して距離置いてるみたいだからさ…。」
そうは言っても気のせいという言葉で済まされそうな程の感覚だ。
久しぶりの再会で無意識に緊張しているのだろう。そう自分に言い聞かせた。
最初のコメントを投稿しよう!