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義一と美奈は教室を出て大介、敦志と合流した。
「じゃあ行くか。守め…隠し事しようたってそうはいかないからな…!」
「義一、珍しく燃えてるな!俺もマジになってきたぜ!」
「ねぇ敦志君…。私も授業サボらなきゃダメ…?」
「うん。ダメ。空気読んどいて。」
美奈を除いた全員がやる気満々だ。
「あ、義一。1つ報告があるんだけど。」
と、敦志。
「何だ?」
「さっきカリーが階段を駆け上がって行ったっていう目撃証言があるよ。」
………え?
「バッカお前…何でそれを先に言わなかったんだ!」
カリーと守には何らかの関係がある可能性が高い。
こうなればカリーに会いに行き、色々と聞いてみるしかないだろう。
義一達は早速走り出し、階段へ向かった。
守は6階の廊下の扉の前で華里奈の到着をのんびりと待っていた。
「守!」
階段をドタドタと駆け上がる音と共に華里奈がようやく姿を現す。
「華里奈!………って…………何でそんなに濡れてんだ?お前…。」
華里奈の制服は…どういう訳かずぶ濡れだ。ブレザーやスカートが若干変色している。
「少し失敗しただけ。どうという事は無い。」
校舎に入る前にタオルで体を拭き、服もできるだけ乾かしておいた。校舎内に水滴を垂らしながら歩いてしまえばそれを面白がって追跡して来る生徒が現れるかもしれないからだ。
「だが…動きにくいな。服が重い。」
「ブレザーだけでも脱げば良いだろ。」
「防弾チョッキが透けて見え……っくし!!………寒い。」
華里奈の顔色が僅かに悪い。体も小刻みに震えている。
「……お前、風邪引いたんじゃねぇか?」
「うぅ………そもそも何でこの季節にプールに水が溜まってるんだ!?冬に水遊びでもさせる気か、この学校は!」
「水泳部が使ってるんだよ。ほら、これ使え。」
守は胸ポケットからコンビニで買った懐炉を取り出し、華里奈に手渡した。
「……用意が良いな。」
「まあな。」
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