スクールジャック

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その教室には寂しそうに床に置かれているパソコンが1つ見受けられた。 守は足早にパソコンに接近し、電源を入れた。 「何だ?これは。」 背後から華里奈も歩み寄り、パソコンの画面を覗き込む。 「スクールジャックの作戦行動をまとめてあるデータだ。これで奴らがどこに潜んでるのか一発で分かる。」 得意げな口調で話す守。 だが、 「………どういう事だ…!……こんなに…!?」 華里奈は、現時点では最も欲しい情報である…スクールジャック遂行直前までの犯人達の潜伏場所を見て愕然とした。 奴らが潜伏しているのはプールどころの話ではない。生徒が全く立ち入らないような教室や死角など、その数は10ヵ所に及ぶ。 これほどの数を制圧しなければならないというのか…! 「でもな、奴らが動き出す前に確実にスクールジャックを阻止する方法があるんだよ。」 守はそう言ってページを下へ送った。 どうやら6階はスクールジャックの拠点にするつもりだったらしい。武器と非常食を昨日の夜の内に揃えていたのだ。…ちなみにここに誰かが来ると言えば、放課後に教師が2、3人くらいなものだ。 早朝には買収した暴力団達を学校へ侵入させ、それぞれの配置につかせる。先程プールにて華里奈が殲滅した者達もその一味。 そして、これが最も重要な事柄だ。 スクールジャック開始の合図は………リーダー格の人物によりこのパソコンから送信されるメールだ。 「……って事は…分かるよな?華里奈。」 「ああ…。」 スクールジャック開始直前、奴らのリーダーは必ずここに来る。 そしてメールが送信させられる前に何としても…止めなくてはならない。 「奴らが来る時刻は分かるか?」 華里奈は刀を入れ物から引っ張り出しながら、そう言い放った。 「そこまでは分からねぇ。ただ、奴らの移動手段は………ヘリだ。」 その時、 ……バラバラバラバラバラ… 「………あ?」 突然上空から物音が聞こえ、守は呆けた表情で天井を見上げた。 これは………ヘリ? 気が付けば無意識に、屋上へ向かって歩き出していた。
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