スクールジャック

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その時、 プルルルル…プルルルル… 華里奈の携帯電話が鳴り出した。 相手は…長海だ。 長海は学校の周囲に配置されている戦闘員の1人としてここへ来ているのだ。 「おい、警察が来てるが…どうするんだ?」 通話ボタンを押してまず最初に聞こえたのは、長海の不安げな言葉だった。 「すぐに逃げる。裏口の前にワゴン車を停めるよう言っておいてくれ。」 と、華里奈。 「んなもん無理に決まってんだろーに…。もう少しで学校が完全に包囲されちまう。」 「何…!」 学校が包囲されるという事は…逃げ道が断たれるという事に外ならない。 「く…!何か方法は無いのか!?」 焦りが華里奈の胸をよぎる。 その時 「…ん?あぁ、おい。聞いてるかぁ? 本部からヘリがそっちに向かってるっつー連絡が入った。屋上で待ってろ。」 思わぬ朗報が。 狩代と同じ手段を使うつもりだ。 「…分かった。…ああ、切るぞ。」 華里奈は通話を終えると携帯電話をポケットにしまい、守の元へ歩み寄った。 そして、 ガッ! 胸倉を掴み、守を引き寄せる。 「守。私の言いたいことは分かっているな?」 「………。」 無言で視線を脇へ反らす守。 「何があったかは知らないが任務中に感情に任せて動くな。お前だけならまだ良いが、下手をすれば仲間も余計な被害を受ける事になる。」 「…分かってるよ。」 守は華里奈の手を胸倉から離させ、こう言った。 「分かってる……けど…!あいつは……あいつは…!!」 思い出すだけでハラワタが煮え繰り返る。 あんなふざけた奴に…俺は…! その時、 べちゃ。 「ぅおわッ!?」 突如、左目付近に何かがへばり付くような感触に襲われた。 …華里奈の濡れたハンカチだ。 プールでの戦闘の際にハンカチもすぶ濡れになり、ずっとポケットに入れていたため乾かなかったのだ。 「か、華里奈…!?」 「動くな。」 続いて感じたのは肌を優しく撫でられるような感触。華里奈が、顔面に流れ落ちた血液を拭いてくれているという事に今やっと気付いた。 濡れたハンカチの感触は冷たかったが…どこか、気持ちの良い感じがしたのも確かだった。 「お、おい。ハンカチ…血生臭くなるぞ…。」 「懐炉の礼。気にするな。それに血生臭さなど慣れっこだ。」 華里奈は血をある程度拭き取るとハンカチを綺麗に折り畳み、再びポケットへしまった。
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