29145人が本棚に入れています
本棚に追加
/568ページ
2人は一旦校舎の扉を開き、6階へと入った。
あのセキュリティが施されたCDを回収するためだ。
「…と、これだな。」
守はCDを手に取り、立ち上がった。
「さっきのカポ・レジーム………狩代と言ったか…。」
守の背後に立っている華里奈が口を開く。
「あいつがどうしたんだ?」
「…何故このCDを残していったのかと思ってな。」
このCDが何か重要な物ならば、やすやすとこの場に残していくはずがない。意地でも取り返す筈だ。
「…まあいい。持ち帰って解析してもらえば良い事だ。行くぞ。」
華里奈は一足先に屋上へと戻って行った。
CDが入れられたケースを片手に教室を出る守。
今度こそ、さようならだ。この学校とも…。
別れは今も、前にも告げた筈。
なのに…名残惜しいというべき何かが胸を駆け巡っている。
何故だろうか。
その理由は、すぐに分かった。
義一や美奈…仲の良かったクラスメート達の顔がフラッシュバックのように頭の中を流れているのだ。
せめて少しでも…話をしたかった。
…バラバラバラバラ……
その時、屋上からヘリコプターの音が耳に入った。
まったく…別れの余韻もありゃしない。
じゃあな、義一。
お前とは生きてる世界が違うからもう二度と会えないだろうけど…元気でな。
そして屋上への扉を開き、ヘリコプターへ乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!