スクールジャック

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2人は一旦校舎の扉を開き、6階へと入った。 あのセキュリティが施されたCDを回収するためだ。 「…と、これだな。」 守はCDを手に取り、立ち上がった。 「さっきのカポ・レジーム………狩代と言ったか…。」 守の背後に立っている華里奈が口を開く。 「あいつがどうしたんだ?」 「…何故このCDを残していったのかと思ってな。」 このCDが何か重要な物ならば、やすやすとこの場に残していくはずがない。意地でも取り返す筈だ。 「…まあいい。持ち帰って解析してもらえば良い事だ。行くぞ。」 華里奈は一足先に屋上へと戻って行った。 CDが入れられたケースを片手に教室を出る守。 今度こそ、さようならだ。この学校とも…。 別れは今も、前にも告げた筈。 なのに…名残惜しいというべき何かが胸を駆け巡っている。 何故だろうか。 その理由は、すぐに分かった。 義一や美奈…仲の良かったクラスメート達の顔がフラッシュバックのように頭の中を流れているのだ。 せめて少しでも…話をしたかった。 …バラバラバラバラ…… その時、屋上からヘリコプターの音が耳に入った。 まったく…別れの余韻もありゃしない。 じゃあな、義一。 お前とは生きてる世界が違うからもう二度と会えないだろうけど…元気でな。 そして屋上への扉を開き、ヘリコプターへ乗り込んだ。
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