崩れ落ちる平穏

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翌日 朝 今の時刻は10時34分。 守は自室のベッドに寝転がっていた。 ちなみに今日は平日。本来なら既に登校している筈なのだが、臨時休校となった。 理由はというと…。 「………。」 無言で携帯を眺めている守。 その画面に映し出されているのは…日本中を驚かせるようなビッグニュースの記事だった。 「高校教師、一夜にして全員失踪…か。」 そう、これこそが臨時休校となった原因である。 記事を読む限りでは、守が通う高校の教師全員が突如行方不明になったらしい。 表向きには…だが。 守はこの事件の真相を知っている。 知ってはいけない、真相を。 「…………くそ…。」 携帯を閉じ、枕の横に置く。 ………一晩寝れば疲れも取れるかと思ったのだが…。 その時 ピリリリリ…ピリリリリ… 「!」 携帯が鳴り出した。電話だ。 ピッ 「…もしもし?」 電話の相手は、 「よ。起きてるか?」 義一だ。 「電話に出たんだから起きてるに決まってるだろ。」 「あ、そうか。言われてみればそうだよな。」 言われなくてもそうだろうが。お前そんなキャラだったっけ? 「それで何だよ。何か用があるんだろ?」 「ああ。休校だから今から佐瀬とか田口とかとカラオケ行くつもり何だけど、お前も来ないか?」 「カラオケ?」 カラオケか…。いつもなら喜んで行くさ。いつもならな。 「悪い、俺パス。」 誘ってくれた義一には本当に悪いが、断る事にした。
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