クリムゾン クリスマス

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「今日は食堂に行くー?レストランに行くー?」 「どっちでも良いかな…。任せるよ。」 作り笑いを零しながら話す夏美。 …例え偽りの笑顔だとしても翔君の前なら暗い顔はしなくて済む。 無理にでも笑おうという気持ちにさせてくれるから。 「じゃあ外寒いしー…食堂にしよー。」 翔が先導して歩き出そうとした、瞬間。 「あなた達!ちょっと待って!」 背後から呼び止められた。 すぐさま振り返るとそこには、本田の姿が。 「本田さん?何ですかー?」 「呼び出しよ。2人共、すぐに大広間に行って。」 呼び出し…。 まさか…任務…? 「詳しい話はそこでするわ。早く行ってね。」 そして本田は振り返り、去ってしまった。 「翔君…。」 夏美の口から発せられたのは…不安そのものを表す声だった。 「ねえ…もしかして任務なのかな…?」 「分かんないけどー…夏美が任務に駆り出される事はないと思う…。とにかく行ってみよー。」 大広間 守、明彦、華里奈の3人が到着した時には既に大量の戦闘員が集合していた。 ざっと見る限り100…いや、200人くらいか…。 「何かイベントでもあるのか?ここで。」 守は入口付近で立ち尽くしている。 「イベントをするなら普通今日ではなく、クリスマスイブの明日だろうが。常識で考えたらどうだ?」 その隣で明彦が呆れたような表情で言った。 「もしかしたらって思っただけだって!………お、あの人…。」 その時、大広間の隅にある人物を発見し、足早に歩み寄った。 「木村さん!」 戦闘員の1人、木村だ。 木村は守や翔、明彦達にとっては頼れるお兄さんのような存在。故に他の戦闘員と比べて気軽に話し掛けることが出来る。
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