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木村は振り返るととても明るい口調で口を開き、見えているのか否か分からない、その細い目をこちらへ向けた。
「やあ、守に明彦!と、カリーも一緒か!」
「その名で呼ぶのはやめろ!」
あのスクールジャック阻止任務以来、華里奈は「カリー」という単語に機敏に反応を示すようになった。
坪内が命名した小田原 カリーの名前を生徒の前で名乗った時は余程恥ずかしかったらしく、それをネタにからかわれる事が多くなったのだ。
あの時の事を思い出しているのか、華里奈は赤面した顔を右手て覆い隠していた。今でも恥ずかしいものは恥ずかしいらしい。
「木村さん、ちょっと聞きたいんだけど…。」
少々控え目に小さく挙手する守。
「どうした?」
「何でこんなに人が集まってるんだ?それも戦闘員ばっかり…。」
「ああ、多分任務のためだろうな。」
すると木村は何食わぬ顔で説明を続けた。
「もしかすると今回は大規模な任務になるかもしれないな。戦闘員が200人近く同時に駆り出されるなんて滅多に無いし。」
「大規模な任務ですか…。」
と、明彦。
守も明彦もまだまだ新人戦闘員。小さな任務なら数回こなしてきたが、大規模な任務と聞くと…何だか不安になってしまう。
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