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モニターが天井に戻されると同時に、守達を含めた戦闘員が大広間を出ようと一斉に歩き出した。
凄まじいまでの人波が排水溝に流れ込むかのように数箇所の出入口から次々と出て行く。
そんな中、人波を掻き分けながら必死に逆方向へ向かって行く…翔の姿が。
「どいてくださ……ぃてッ!」
何者かに足を踏まれたようだ。バランスを崩すもなんとか体制を立て直し、更に突き進んでいく。
そして、ようやく人波から脱出した、瞬間。
「本田さん!!!」
本田を大声で呼び止めた。
「……中島君?」
資料を整理し、人波の最後尾から大広間を後にしようとしていた本田はキョトンとした眼差しで翔へ振り向いた。
立ちはだかるように本田の前方に仁王立ちになる翔。
「本田さん!この任務に夏美も連れていく気なんですか!?」
大広間に集った戦闘員達全員が八丈島での任務に駆り出されるのだとすれば…夏美も決して例外では無い筈。
そして返答は…
「当然じゃない。彼女も戦闘員である事には変わり無いわ。」
予想通り。
「当…!?どうしてですか!?夏美のトラウマがまだ改善できてないのは知ってるでしょう!!」
温厚な翔でも流石に反発しないわけにはいかなかった。
「ええ。勿論よ。」
「………ッ…!じゃあ何でです!?」
人を撃つ事にトラウマを抱いている戦闘員など足手纏いに外ならない。わざわざ夏美を連れていく理由が無い筈だ。
だが、
「しょうがないじゃない。良い結果が得られないトラウマ改善のために囚人を大量に減らされてしまうのは、こちらとしても痛手なのよ。」
……え…?
「……どういう事ですか…それ…。」
囚人が減らされて困るから…夏美を無理矢理戦場に連れ出すというのか…?
「そんなの夏美に、囚人のために死ねって言ってるようなもんじゃないですか!!!」
ふざけんなよ…!おい…!
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