クリムゾン クリスマス

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「守!」 その時、背後から守を呼ぶ声が。 咄嗟に振り返るとそこには舞の姿があった。 「姉貴!?何でここにいるんだよ!?」 「出張に決まってんでしょ!あんた達が怪我してもいいように着いてってあげるんじゃない!」 意気揚々と話す舞。その表情からは頼もしさのようなものが見て取れた。 「馬鹿!危ねぇだろ!姉貴は帰ってろって!」 だが戦闘技術など微塵も無い舞が戦場に出てくるという事がどれだけ危険か…考えずとも分かる。 「何も戦場にまで行くとは言ってないでしょ?常識で考えなさい、マー君。」 その時、またもや別の声が。 病棟区最高責任者の女性医師、伊乃だ。 伊乃は医者としての腕はずば抜けており、今まで数多の戦闘員の命を救って来た人物だ。 「私達は拠点で戦闘員達の治療をするだけ。あなた達のドンパチに巻き込まれたくはないもの。」 ご尤もな言葉。 しかし不満な点が1つ。 「伊乃さん…。マー君て呼ぶの……やめて欲しいんだけど…。」 おそらくは「守」の「ま」から由来しているのだろうが、呼ばれてあまり良い思いはしないのは確かだ。 「良いじゃない、可愛いし。それとも大人のお姉さんにマー君って呼ばれるの…照れちゃってる?」 「いや……そういうんじゃ…。」 確かに伊乃さん、大人の魅力たっぷりだよ? サラサラヘアーだし、スレンダーだし、胸は大き……いや何でもない!何でもないぞ! 「マー君。怪我したら真っ先に私の所に来なさいね? 私が……癒してあげるから。」 伊乃さん、接近。 「ちょっ…近い!近いって!」 横目でチラリと華里奈を見るが、見事に知らんぷり。 ちょ…助けてくれたって…。 そんな事してる間に伊乃さんとの距離は文字通り目と鼻の先。 え?何この良い匂い?香水…かな? てか発情期…いや、思春期の少年には刺激が強すぎ……って……おおおい!近い!近い近い!……ちょっと…待った……! 「伊乃さん!私の弟に何してんですか!!」 理性という名の臨界点が突破される寸前、舞が伊乃の服を引っ張り…遠ざけた。 姉貴、感謝。マジで感謝。 伊乃さん、ちょっとありがとう。 「別に良いじゃな~い。」 と、伊乃。 「良くないですよ!行きますよ! ……じゃあ守に華里奈さん、頑張ってね!」 そう言うと舞は伊乃を強引に引っ張り、船内へと去っていった。
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