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任務中に優先すべき事は、無論任務の達成に限られる。
だが夏美を守りながら戦うとなれば話は別だ。
任務達成の障害となり、こちらの敗北に繋がる恐れが充分にあるからだ。
しかし、守の返答は、
「当然だろ!俺に出来る事があるなら何だってする!」
こんな理不尽な理由で仲間が危険に晒されるという事態…納得がいく筈がない。
「ありがとー。守に相談して良かったよー。」
翔は胸を撫で下ろし、安心したような表情になった。
「華里奈と明彦にも協力してもらった方が良いんじゃ…。」
人手は多くて損はないという考えの元の守の提案だったが、
「ううん、それはやめとこー。」
却下。
「華里奈も明彦も任務優先って言うに決まってるよー。だから守だけに相談したわけだしー。」
…言われてみればそうだ。
明彦はどうだか知らないが、少なくとも華里奈は夏美より任務を優先するだろう。
この前のスクールジャック阻止任務で…憎むべきカポ・レジーム(幹部)、狩代と戦った時に言われたじゃないか。
『任務に私情を挟むな。』、と。
「とにかく俺達だけで頑張ろー。木村さんにも一応相談しとくからー。」
「分かった。じゃあ…皆には内緒にしとくって事で良いんだな?」
ごめん、華里奈。まだ俺には…私情を挟まずに任務を遂行するのは無理かもしれない。
でも今回は…大目にみてくれよな…。
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