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ほぼ無意識に歩を進め行き着いた先は…公園だった。
この公園はとても小さく、ブランコが2つ、滑り台が1つ、ベンチが1つあるだけだ。
この時間帯は赤ん坊を乗せたベビーカーを押している母親がよく散歩に来る時間でもある。
守はそこのベンチに座っている意外な人物を発見した。
「……姉貴?」
そこには、既に大学へ行っている筈の…舞の姿があった。
「こんな所で何してんだよ。」
舞の隣に腰を降ろす。
「………別に。」
ベンチにもたれ掛かりうなだれている舞。早朝に家を出てからずっとこの格好でここにいたのだろうか。
「……大学は?」
「…なんか、めんど臭い。」
「……サボりかよ…。」
「…何とでも言ってなさいよ。」
やはり昨日の事を未だに引きずっているようだ。
まあ、引きずるなという方が無理な話だが。
椎羅木家
突然、インターホンが鳴らされた。
食器洗いをしていた手を止め、玄関へと向かう母。
「はい、どちら様でしょうか?」
そう言いながら玄関を開けると…
「警察の者です。椎羅木さんのお宅でしょうか?」
警察手帳を片手に持っている男が立っていた。
何食わぬ顔で、玄関前に。
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