クリムゾン クリスマス

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  ここは船内の最も後ろに位置する客室。ツインのベッドに大型のソファーなど……流石は豪華客船、客室が美しい。 長海はこのソファーにどっかりと座り、真剣な顔付きで読書をしていた。 その時、 「真、邪魔するぞ。」 客室のドアを開け放ち、古賀が入室した。 「おう、どうしたよ?」 本を閉じ、顔だけを古賀に向ける長海。 その姿を見て、古賀は目を疑った。 「ちょっくら話が……って、お前何読んでなさった!?読書なんて趣味あったか!?」 「いや、これエロ本。」 「何ッ!おい真、俺にも読ませろ。」 「構わんぜ。ボインとペッタンのどっちにする?」 「分かりきった事を聞きなさんな!ボインだボイン!ボンキュッボンだ!」 そう言って古賀は長海が差し出したエロ本を1冊、引ったくった。 そして、ガン見。 「そんで、何か用があるんじゃないのかぁ?」 長海は、エロ本を前にここへ来た理由を忘れてしまったのであろう古賀に呆れながら言った。 「あぁ、そうだ。今月のギャラの話を今のうちにしておこうと思ってな。」 傭兵である長海にとって、ギャラはとても大事な物。働きに相応するだけの額を、慎重に話し合って決めにきたのだ。 だが長海は、 「ギャラなんて後で良いだろーに。それより任務のグループ分け、ちゃんと言う通りにしてくれただろーな?」 今はギャラより任務だ。目先にあるものから気にかけていく、それが長海の性分というべきか。 「心配しなさんな。お前さんのグループに、ちゃんと息子さんも入れといてやったよ。」 「そうか。なら良いぜ。」 長海がマフィア エクスターミネーターズに自分を雇うよう申し出た理由は、実の息子と娘である守と舞を絶対に死なせないため。 父親としてできるだけ側にいてやりたいのだ。 「それよりさっさと守君に教えてやったらどうだ?自分はお前の父親だって。」 「馬ー鹿ー野ー郎。んなこと言えるわけないだろーに。いつか機会があったら言えば良いさ。」 いつかと言っても……いつになるかは分からない。 勇気が出ないのだ。情けない事に。
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