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そして出港から数時間。ようやく到着した。
伊豆諸島の1つ、八丈島へ。
船が港へ入り、続々と戦闘員達が降り立った。
守、明彦、翔、夏美の4人も上陸。人波に流されるように歩いて行った。
それにしても「常春の島」と言われるだけの事はある。寒くない事はないが、少なくとも関東地方よりは温暖な気候のようだ。
これから戦場と化すであろう三原山を見上げると、頂から麓付近にかけて白銀に輝く大量の雪に覆われていた。
「冬の山ってマジで寒そうだな……。なぁ、明彦?」
守はそう言って背後を歩いているであろう明彦へ振り返った。
だが
「…………ぁぁ……………………………。」
明彦からの返されたのは、気の抜けた弱々しい返事。
……生気が抜けとる。
まさかあのオカマ達か?あいつらが明彦の生命力を奪い取ったのか?
うわぁ…目が死んでる。関わるのはやめておこう。
翔はと言うと夏美と雑談をしながら歩いていた。少しでも夏美の気を紛らわせようという魂胆だろう。
優しい奴だ。翔は。
戦闘員達は1~20の班に分けられ、それぞれが船で共に運ばれて来た大型トラックに乗り込んでいく。
トラックの台数は全25台。
戦闘員や武器、弾薬の運搬のために12台、処理班のために7台、医療班のために5台。
そして任務に赴いた各班の戦闘員達と無線で連絡を取り合い、サポートを行うためのトラックが1台だ。
守達も停車しているトラックの荷物庫に乗り込み、収納されている武器を取る。
荷物庫には既に、同じグループとして戦う古賀、本田、坪内、長海、木村、華里奈が乗り込んでいた。
守達は第1班。三原山の奥まで突入し、マフィアの準構成員を全滅させ、取引を阻止するという目的の元に行動する。
古賀は運転席に座り、無線を口元に運んで全トラックに向けてこう言った。
「準備できたか?それじゃあ……行くぞ!」
と同時に全てのトラックが動き出す。
三原山を、目指して。
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