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「義一!悪い!」
玄関を飛び出すと同時に家の前で待っている宮方 義一(みやかた よしかず)に即座に頭を下げた。
「良いんだよ。もう慣れたしな。」
「うっ……。」
義一の「もう慣れた」という言葉が心に突き刺さる。
義一は守が高校に入学してからの1番最初の友人だ。面倒見がよく周囲から頼りにされている。
「早く行こう。担任に文句言われたくないだろ?」
「そうだな。」
2人は急ぎ足で学校へ向かった。
30分程して学校に到着し、守は義一と別れ教室へ入った。
「あー…疲れた。寝よ。」
守は席に座るとすぐに机に突っ伏した。ホームルームまで寝るつもりだ。
(夜中の4時までゲームしてたからな。ぐっすり寝かしてもらうか。)
だが、
「守!!寝るなあ!!」
と耳元で叫ばれ、目が覚めてしまった
「てめ…。金井…。」
今叫けんだのは金井 美奈(かない みな)。守の小学生の頃からの友達だ。
「どう?覚めた?」
「おかげ様で…。」
「良かった!じゃあね!」
……じゃあねって…おい。
「野郎…いや女……用ないなら起こすなっつの…。」
守は再び机に突っ伏し、無理矢理寝た。
授業の合間は友達とゲームをして過ごし、待ちに待った放課後。
「終わった…!金井、早く義一拾って帰るぞ!」
「いいよ!今週は掃除ないしね!」
「ちょっと待て!!」
教室を出ようとする美奈の肩を誰かが掴んだ。担任教師の高田 孝司(たかだ こうじ)だ。ちなみに言うと化学担当だ。
「何ですか?」
「お前、昨日提出する筈の数学のプリント出してないだろう。武谷先生の所へ行ってこい。」
そう言い残すと高田は教室から出て行った。
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