崩れ落ちる平穏

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その時 ドサッ 「……は…?」 上から…人が跳び降りて来た。 かっこよく、片膝を地面に付けて。 それは茶髪にがたいの良い肉体の……男。 その手には、サブマシンガン。 その男は守と舞の方へ振り向き、こう言った。 「大丈夫かい?守君に、お嬢さん!」 椎羅木家 「遅かったか…。」 玄関先で銃声を抑制するためのサプレッサーを取り付けたマシンガンを握り締めている武谷。 目前には血の海に沈む守の母と…警察官。 守の母に弾痕は無い。首に深々と裂傷が1つ。 警察官には頭に1つ、小さな風穴が空いている。 至近距離で武谷にマシンガンで撃ち抜かれたのだ。 「警察に変装するなんて…あくどい奴らね…!」 守と舞に意識を集中させ過ぎた。 まさか、母親が狙われるとは思いもしなかった。 こんなの…ただの言い訳にすぎないが…。 武谷は無線を掴み口元へ運んだ。 「こちら本田。今より椎羅木 守と椎羅木 舞の救出に移ります。」 路地 「だ…誰だよ…お前…!」 「おっと。せっかく助けに来たってのに酷い言われようだな。」 残念、とでも言いたげに肩を竦める男。 「助けに……」 「伏せろ!!」 ズダダダダ! 突然男はサブマシンガンを守の頭越しに構え、引き金を引いた。 チュン チュン チュイン チュン… 弾丸が壁に当たり、跳弾する音が聞こえてくる。 「追っ手か…来るの早過ぎでしょうが!守君、お嬢さん!走れるか!?」
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