崩れ落ちる平穏

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「ごめんなさいね。もっと早く気付いてれば…。」 申し訳なさそうに…本当に申し訳なさそうに謝罪の言葉を述べる本田。 「………いや…別に…。」 守には分かっていた。こうなってしまった原因を。 自分が昨日、学校に戻らなければ……余計な事に首を突っ込まなければ…こんなことには…。 「…本田さん。…一つだけ教えて欲しいんだけど…。」 「何?」 「母さん死んだの…やっぱり俺のせいなのか?俺があんな事に首突っ込まなかったら…。」 「…………。」 本田は悩んでいた。どう答えれば良いのだろうか。 「………今、椎羅木君達を抹殺しようとしているのはマフィアが送り込んで来た刺客。口封じのためのね。」 「口封じ…?」 「あなた達はあの学校の裏側を知ってしまった。だから生かしておくわけにはいかなかった。…という事よ。」 ……やはり、そうか。 「…だったら…何で母さんが殺されたんだよ。」 「だから…口封…」 「母さんは何も知らねぇ!!俺も姉貴もあの事は話してない!!」 何故、何も知らない筈の母が口封じという理由で殺されなければならなかったのか。 「それはあなた達の1番身近な親族だからよ。」 「……え?」 「あなた達が…特に親に余計な事を何も言わない保証は無い。だから一応殺しておく。そういう理由よ。」 なんだよ…それ…。 一応殺しておく…? 何も知らないのに……殺される理由なんてないのに…… ……………畜生…。 「守君。」 その時、一歩先を歩いている男が背を向けたまま話しかけて来た。 「………何だよ…。」 「わかってると思うが君達の親父さんも狙われてる可能性が高い。どこにいるか分かるか?」 「……父さんは…いない。もうとっくに離婚した。」 守の父は守が物心付く時には既にいなくなっていた。故に、顔は写真以外では知らない。
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