歩むべき道

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「……ッ…!」 その瞬間、自分が存在してる世界が突然変わったかのような感覚に襲われた。 いや、違う。 白いベッドの上、守は私服のまま全身汗だくで寝転がっている。 さっきまでとは違い、意識もハッキリとしている。 ということは 「………夢…か…?」 とりあえず、深呼吸。 左胸で暴れる心臓を落ち着かせる。 そして次は…今の状況を把握しなくては…。 周囲を見渡してみる。 …………見覚えの無い部屋。 いや、部屋というより…病室の方がしっくり来る…。 ……何故こんな場所にいるのだろうか。 華里奈とかいう奴に車に強引に乗せられて……それから…それから…。 「……!」 その時守は何かを見つけ、思考をピタリと停止させた。 ベッドの隣に置いてある台の上には…守の携帯電話。 普段携帯電話は制服であろうと私服であろうとポケットの中に常に入れている。 故に今ここにその携帯がある事は別に不思議では無いのだが…。 守は直ぐさま携帯を開き、自宅に電話をかけた。 だが、 (……繋がらない!?) 今度は母の携帯にかけてみるが、 …やはり繋がらない。 それもその筈。 画面の端っこには圏外という文字があった。 「……くそッ…!」 どうしても母の安否を確認したかった…。 守は母は死んだとしか伝えられていない。 自分で母の死を確認した訳ではない。 まだ…生きてるかもしれない。 その時、 カチャ ドアを開け、誰かが病室へ入って来た。
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