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「………あ…。」
入って来たのは、華里奈だった。
「起きたか。」
その瞬間、思わず唾液が溢れてしまいそうな香ばしい匂いが部屋中に充満する。
見ると華里奈の両手にはカレーの盛られた皿が見受けられた。
「あんたは…。」
守は右手を支えにし、上半身を起こす。
「夕食。食え。」
華里奈はカレーをベッドの隣の台に置き、近くの椅子に腰を落とした。
「…夕食?今何時だ?」
「午後7時24分。」
「俺どんくらい寝てた?」
「8時間くらい。」
………8…。
もう散々だよ。今日は。
「………………それより…聞きたい事あるんだけど…。」
まず最初に、ここはどこなのか。
そして、自分はこれからどうなるのか。
他にも聞きたいことは山ほどある。
しかし華里奈は…
「部外者に教える事は何も無い。」
それだけしか言わなかった。
「な……なんでだよ!」
「部外者だから。」
「だからって…!」
何が何だか分からないまま連れて来られ、部外者だからといって何も教えてもらえないというのは…納得がいかない。
「黙って食え。」
華里奈はスプーンを取り、守に差し出した。
「………いらね。」
スプーンを受け取らずに再び寝転んでしまう守。
「駄々をこねたところで教える気は無い。」
「そんなんじゃねぇって。………食欲ないんだよ。」
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