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「失礼しまーす。」
美奈は少々遠慮勝ちに職員室に入った。生徒にとって職員室というのは常に空気の重い部屋だ。
「………何だろ…。」
何やら教師達が一カ所に集まって何かの相談をしている。会議だろうか。
「あの……武谷先生いますか?」
美奈が少し大きな声を出すと教師達が一斉にこちらを向いた。
(怖…。)
「あ、金井さん。プリントの事は良いから帰りなさい。」
武谷 洋子(たけたに ようこ)という女教師が教師の集団の中から顔を出した。
「え?」
「これから重要な会議があるのよ。プリントは明日で良いわ。」
「あ…はい。」
おかしい。武谷は課題や宿題に関しては人一倍うるさいのだが…。
まあここにいてもしょうがないので帰る事にした。
靴を履き校門を出ようとした、その時だった。
《連絡です。全校生徒はよく聞いてください。》
「放送?」
《都合により、本日の完全下校時刻は4時とします。》
腕時計を見る。今は3時36分だ。
普段の完全下校時刻は6時40分なのだが、明らかに早過ぎる。
「どうしたんだろ?」
職員室
ガラッ
「皆、集まってるね。」
芝崎が職員室に入って来た。
教師達は立ち上がり、芝崎に礼をする。
「では、会議を始めようか。
とうとう今日という日が来たからね。」
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