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「あぁ、その事か。」
華里奈の方向音痴に付き合わされている間に必死に考えた。
そして、その答えは…。
「入るよ。あんたらの仲間。」
「…良いのか?こちらに来れば日常に戻る事は難しくなる。」
「日常とか、そんなのどうでも良い。復讐したいだけだしな。」
「殺されるかもしれない。それでも良いのか?」
「それは…。」
死ぬ覚悟。そんなの俺には重過ぎる。
そんな覚悟…出来るわけがないし、するつもりもない。
「そんなの心配する必要ねぇって。俺、死ぬつもり無いから。」
これが俺が編み出した答えだ。
「………そうか。」
華里奈は守の目前へと歩み寄った。
「面白い奴だな。お前。死ぬつもりは無いか。そんな事を言う奴はお前が初めてだ。」
「わ、悪いかよ。」
「悪くはない。ただお前に興味が沸いて来ただけ。」
そう言いながら振り返り、部屋の出口へと向かう。
「古賀には私から言っておいてやる。今日は早く寝ておけ。」
「い、良いのか!?」
「死ぬつもりは無いんだろう?だったら明日からお前を鍛え上げてやるから、覚悟しろ。」
そう言い残し、華里奈は廊下へ出ていってしまった。
廊下
「よ、華里奈。」
守の部屋の前には古賀が爽やか(?)な笑顔で待ち構えていた。
「―チッ。」
舌打ち…!
「何の用だ。椎羅木 守の事か?」
「通り掛かっただけだっての。それより今の会話、聞かせてもらった。
随分気に入ってるみたいだな。守君の事。」
「別に。ただ面白い奴だと思っただけ。明日から奴の特訓を始める。分かったら私の視界から消え失せろ。」
殺気が見え隠れするオーラ。それだけをこの場に残し、去ってしまった。
「……嫌われてんなぁ…俺…。」
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