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訳がわからないので、とりあえず話を聞いてみる。
すると…
「要するに、自分の部屋への道を忘れて帰れなくなったってことか。」
「………ああ。」
方向音痴にも程があるんじゃないか?
こんなんでよく俺を休憩所に連れていけたな。
「で、何で俺の所に来たんだよ?」
「…部屋探し、手伝ってくれ。」
何を言い出すんだ。
「手伝うも何も俺ここに来たばっかりだし…。」
「既にお前は私と共に施設中を回っている筈。構造くらい覚えているだろう。」
「無茶言うなよ!1回グルグル歩き回ったくらいで分かる訳が…!そもそも、あんたはずっとここにいるんだろ!?構造なんて分からない方が変じゃねえか!?」
「私は方向音痴だ。無理に決まってる。」
「認めんなよ!」
今までどうやっと暮らして来たんだ。ここで。
「お前の部屋に辿り着けたのも単なる偶然。良いから手伝え。」
「何で俺が…!」
守はあくまで拒否の姿勢を崩さない。崩してなるものか…!、が。
「…そうか。」
すると華里奈は口元をニヤつかせ、こう言った。
「お前を助け、保護し、更には仲間に加えてくれという願いを聞き入れたのは誰だ?」
「……なッ…!」
「お前は私達に貸しがある。それを忘れるな。」
「き…汚ねぇ!汚ねぇぞ!」
「黙れ。お前は大人しく『はい』と答えれば良い。………さあ、どうする?」
この野郎…いや女!初めて会ったときから何と無く嫌な奴だとは思っていたが、今度は恩を売るか!?
そりゃあ俺は他の人と比べると馴れ馴れしい方だとは思ってるけど…何で俺!?
だが…確かに恩人である事に変わりは無い…。
…………畜生…。
「…分かった分かった…。ついてくよ…。」
渋々…OKしてしまった。
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