真夜中の迷宮

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仕方なく部屋を出、ドアを閉め、鍵を掛ける。 「で、どうすりゃ良いんだ?俺は。」 「私の部屋探し。何度も言わせるな。」 「ていうか…俺よりもここの関係者みたいな人に聞いた方が…。」 「誰も見付からなかった。つべこべ言わずに来い。」 守自身、ここの構造など全く覚えていない。更には方向音痴と同行とは…。 これでは迷宮に身を投じるのと同じ事だろう。 しばらく歩いて気付いたが、そもそもここの廊下には目印になる物が存在しない。鉢に植えられた観葉植物が所々にあるだけだ。 そして、もう一つ大事な事に気付く。 「なあ、織田…だっけか?」 「華里奈でいい。苗字で呼ばれるのは嫌いだから。」 「じゃあ華里奈。………ここ、どこだ?」 ピタッ 横を歩いていた華里奈がピタリと停止する。 「何?」 「いや、だから…ここはどこだって…。」 「…………。」 「…………。」 出発し、僅かに10分。 やばい。迷った。 「わ、分かってて歩いてたんじゃないのか!?」 と、華里奈。そんな…シンジラレナ~イ的なノリで言われても…。 「だから俺には分からないって…。」 「お前、まさか私の感覚をアテにしてたんじゃ…?」 「他にアテにするもん無いだろ。」 「……馬鹿が!私は方向音痴だと言った筈!」 何でそんなに偉そうなんだ。 「とりあえず俺の部屋まで戻るか…。」 来た道を戻ろうと振り返る。が、 ………あれ…? 見渡す限り白い廊下。 おかしい。自分達は数回道を曲がった筈。なのに見えるのは一直線に続く廊下のみ。 完璧に迷い込んでしまった。 ……………巻き添えで。
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