真夜中の迷宮

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10分後 某一皿百円回転寿司店 「酷い目にあったよ…マジで。」 目の前に敷かれたレールを単調かつゆっくりな速度で流れていくタラコを見送りながら盛大な溜息をつく。 「あのオカマ共は酔うと何を仕出かすか分からない。注意しろ。」 「肝に銘じておきます…。」 そう言うと守は穴子の乗った皿を手に取り、手前へと運んだ。 「…24時間営業の回転寿司ってのも珍しいな。」 「私の行き着けの店だ。それと自分の分は自分で払え。」 「な…奢りじゃ…。」 「甘ったれるな。」 財布と携帯電話を常時携帯する癖があって良かった。 しかしカウンター席の隣で無表情で茶を啜る華里奈の横顔を見ると無性に苛立って来た。 奢ってくれたって良いじゃないか、と。 その時、 ピリリッピリリッピリリッ ピリリッピリリッピリリッ 突然、守の携帯電話が鳴り出した。 メールだ。 「誰だよ…あれ?電波回復したのか?」 「あそこは地下だから電波が届かない。それだけの事だ。」 「地下!?だから窓が1つも無かったのか…。」 そう言いながら携帯を開く。差出人は… 義一…! メール画面を開き、食いつくように見入る。内容は…。 『まだ起きてるかー?なんか休校2週間くらい続くらしいから、今度の日曜に東京カラオケ巡りに行くんだけど…来るよな? もう9人メンバー集めてあるからお前入れて丁度10人!良い返事を期待してる!』 「…ははは…あのカラオケ馬鹿…。」 思わず零れ落ちる苦笑い。 悪い、無理だ。
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