真夜中の迷宮

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「友達か?」 「なぁッ!?お前…!」 華里奈はいつの間にか顔を寄せ、携帯の画面を覗き込んでいた。 「何で人の携帯見るんだよ!?」 直ぐさま携帯を閉じポケットに捩込む。 「別に怒るところでは無いだろう。それより、どうするつもりだ?カラオケ巡りとやらは。」 内容まで読んでやがったか。 「どうするも何も……行けるわけ無いだろ。」 日常に戻れないとはこういう事だ。 楽しさを共感できる友。 それに別れを告げなければならない。 全ては復讐のために。 「あいつらには悪いけど、もう関わる事も無いし関わっちゃいけない気がするというか…。」 箸でガリを一枚摘みながら喋る守。 その表情はどこか……寂しそうなものが見て取れた。 「…済まなかった。巻き込んで。」 「へ?」 「さっさと食え。些かマズい時間になってきた。」 華里奈の腕時計を見ると既に2時を回っている。 あの施設をさ迷っていた時間が長すぎたようだ。 「落ち着いて食わせてくれよ…。なあ、そーいや…どこだ?ここは。」 守は千葉県在住だった。だがワゴン車で連れて来られる際には気絶していたため現在地がどこか見当もつかないのだ。 「言い忘れてたな。ここは、東京。」 「東京!?なんだ…あんまり離れてないのか…。」 てっきり関東地方を通り越していたと思っていた。妙な安心感が胸をよぎる。
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