真夜中の迷宮

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だが守の心配は杞憂に終わった。 点けられていた蛍光灯は全て消され真っ暗となっている。どうやらオカマ達は帰宅したようだ。 「―チッ。」 何故か舌打ちをして鉄パイプをその辺に投げ捨てる華里奈。 守は次第に暗闇に慣れてきた両目を凝らして周囲を見渡した。 すると隅に幾つもの長椅子に囲まれた、円形の巨大なステージが見受けられた。 最初に来た時はそれ所では無かっため気付かなかったようだ。 「あのステージのカーテンの裏に入口がある。来い。」 そう言うと華里奈は暗闇の中をもくもくと歩いていく。守にとっては追い付くのに精一杯だ。 ステージのカーテンをめくり奥へ進む。するとそこには地下へ繋がる階段があった。 守が暮らす事となった施設へ繋がる階段が。 やっと気持ち良く寝れる。そう思って階段へ一歩踏み出した、その時だった。 「椎羅木。忘れてないだろうな。」 ……ギクッ…! 華里奈の自室探し。 今日は…徹夜か…。 「華里奈。お前、ここの構造図か何か持ち歩いたらどうだ?」 守が咄嗟に思い付いたアイディアを述べてみると…。 「…構造図………成る程。」 成る程じゃねぇよ。 先が思いやられつつも守は意を決し階段を降りていった。
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