射撃訓練

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…ィィィン……ガシャン 守と華里奈を乗せたエレベーターが訓練区に到着し、扉が開かれる。 そこには思わず息を飲んでしまうような光景が広がっていた。 東京ドーム程の広さを持つ訓練区。エレベーター乗り場はそれが全て一望できる高い位置にある。 見たところ幾十というスペースに壁で仕切られている。一体何種類の訓練施設があるのだろうか。 天井には数え切れない程の蛍光灯がある。 日光の届かない地下深くに位置する場所だというのに、少しばかり眩しく感じるくらいの蛍光灯が。 「今日から1日の大半はここで費やす事になる。覚悟しておけ。」 「……ああ。」 まずはここで鍛えなければ復讐など程遠い。 …上等だ。 何だって、こなしてやる。 「一通り下見していくといい。降りるぞ。」 そう言って華里奈は今度はエスカレーターに乗り、降りる。守もそれに続く。 先程まで一望できた訓練区がみるみる見えなくなり、最後にはエレベーターに1番近いスペースしか見えなくなった。 そこには様々な銃火器が置かれた台が設置されており、十数メートル奥には壁に貼付けられた人型の的が複数見受けられる。 「なあ、あれは?」 気になったので、聞いてみた。 「射撃の命中精度の向上のためのものだ。」「…へぇ。」 守はエスカレーターから降りるとすぐにそこへ向かった。 そして台の上に置かれている銃火器の1つ、拳銃を両手で持ち上げる。 初めて握った銃の感触。 固く、重く、冷たい。 戦場ではこの引き金を引くだけで人が呆気なく死んでゆく。 そう考えると何とも言えない不思議な気分になってきた。 「華里奈。下見がてら、撃ってみて良いか?」 両腕を伸ばし、銃口を的に向ける。 「構わない。やってみろ。」 「……ああ!」 片目をつぶり狙いを定める。………が、 「待て。」 肩を掴み、静止をかける華里奈。 「何だよ?」 「撃つ気があるなら安全装置くらい外しておけ。」 ………あ…!
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