射撃訓練

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映画やドラマの見様見真似で安全装置を解除し気を改めて銃を構えた。 両手で拳銃をしっかりと掴み、腕をピンと伸ばし、狙いを定める。 引き金に人差し指を添え……引いた。 ダァン!!!………… 「………ッ…!!」 鼓膜を激しく震わせる銃声。 指先から肩までの関節を襲う衝撃。 …カラーン……カン…カン… 拳銃から吐き出された空の薬莢が音を立てて落ちる。 若干震えている両手。手汗が大量に滲み出て来た。 「…何を固まっている。」 「!」 華里奈に喋りかけられ呆然としていた意識が引き戻される。 「あ……いや…ちょっと……びっくりしたというか…。」 これが銃を撃つ感触…。 「はは……腕…すげぇ痛いな…。」 「大して鍛えもせずに撃つから。まずは筋トレから始めた方が良さそうだ。」 華里奈は守の真横に歩み寄り、壁の的に目をやった。 「案の定…か。」 「え?」 「見ろ。的に当たるどころか弾痕すら見当たらない。」 「てことは…つまり…。」 弾丸は壁を越えて天井へ撃ち出された…ということだ。 撃つ瞬間に反動に腕力が負けて肘が曲がり銃口が上を向いてしまったのだ。 「やっぱ難しいな…そうだ、お手本見せてくれよ。」 そう言って拳銃を華里奈に差し出す。しかし、 ガッ! 「てっ!」 ゴトン… 手首を叩かれ、拳銃を落としてしまった。 「………やめろ。」 殺気の篭った声。背筋に寒気が走る。 「そんな物を私に触らせるな…!わかったな…!」
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