射撃訓練

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「な、何でそんなキレてんだ…。そもそも銃なんて普段使ってるんじゃないのかよ…。」 「私の主な武器は刀だ!誰がそんな物を…!……誰が…………!」 さっきまでは冷静沈着という言葉がピッタリだった華里奈が、こんなにも取り乱している。 拳銃を渡そうとしただけで何故こんなにも激怒しているのだろうか。 「えっと…とりあえず…ごめん…。」 何にしろ今は素直に謝っておくべきだ。守が怒らせたという事実には変わりない。 「……ぁ………。」 華里奈は突然はっとした表情になり、視線を落とす。そして、こう言った。 「いや…いい。私こそ…いきなり…。」 気まずそうに視線を反らす。 その時、 「あ、華里奈さん!まだいたんですか!」 訓練区の奥から何者かが歩み寄ってくる。 そこには守や華里奈とほぼ同年齢と思われるくせ毛の少年がいた。 少しばかり骨張った顔付きや悪い目付きが印象をあまり良くない物へと変貌させていた。 「……誰だ?」 「峰崎 明彦(みねざき あきひこ)。ここの訓練生の1人。」 ついさっきまでの怒りを忘れたかのように、親切にも華里奈が紹介してくれた。 「どうも。………と、こいつは?」 明彦は守を親指で指差しながら言った。 「保護した民間人だ。色々事情があって今日から訓練生になる。」 「本当ですか?……ふぅん、ルーキーさんねぇ。」 守を嫌味たらしい目でまじまじと見る明彦。 「私達のグループに入る事になるから、よろしく頼むぞ。」 「了解です。…しっかし、軟弱そうな奴だな。貴様は。」 「なッ…!」 そして突然の嫌味。 初対面で…何て奴だ…。 「誰だって初めはそんなものだ。」 「…分かりましたよ。貴様、名前は?」 正直、自己紹介などしたくないのだが…。 「…椎羅木 守だよ。」 「椎羅木ね。せいぜい僕らの足を引っ張らないくらいになってくれよ?ルーキーさん。」
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