射撃訓練

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なんて偉そうな奴だ、と心底思いながら明彦を見る。 「丁度いい。銃のお手本なら峰崎に見せてもらえ。」 え…!? 「ふん。ルーキーのお手本役というのは気に入らないが華里奈さんの命令とあらば仕方がない。」 明彦は台の上の拳銃を一丁掴んだ。 「よく見ておけよ椎羅木 守。この僕が手本を見せてやるんだからな。」 人を見下すような態度。 正直な感想…こいつ腹立つ。 「お前の取り柄は銃だけだろう。ごたごた言わずとっととやれ。」 「ぅ…。」 華里奈に痛い所を突かれた明彦。 ざまぁ。 明彦は何も言わずに台越しに銃を両手で構え、 ダァン!! 大して狙いを定めずに発砲。 手慣れているという感じだ。 そして弾丸は… 「……すげぇ…。」 守は思わず感嘆の声を漏らした。弾丸は人型の的の頭部ど真ん中を撃ち抜いていたのだ。 「まだだ。」 すると今度は…片手で拳銃を掴む。 そして再び引き金を引いた。 ダァン!! 「か、片手撃ち!?」 守が両手で撃った際には銃の反動に負け、激しい痛みが腕を駆け巡った。 だが明彦はそれを片手で…それも表情一つ崩さずに。 これがここで訓練を積んだ結果なのだろうか。 「…やはり片手は難しいな。」 弾丸は明彦の狙いから外れ、的の数センチ下に命中していた。
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