射撃訓練

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「ざっとこんな物だな。ま、ルーキー君にこんな物を見せ付けたところで意味は無いとは思うがな。」 やっぱムカつく。 こいつだけは絶対追い抜いてやる。たった今そう決心した。 「あまり図に乗るな峰崎。お前は格闘に関しては雑魚同然。一度でも私から一本取ったことがあったか?」 と、華里奈。 「………ぅっ……。」 華里奈、もっと言ってやれ。と、心の内で呟いている守。 ………嫌な奴だな…俺…。 「……で、では僕はこれで。おやすみなさい、華里奈さん。」 明彦は華里奈に一礼すると去ってしまった。 思えば彼はこんな夜遅くまで訓練をしていたのだ。疲労は相当なものに違いない。 「…椎羅木。行くぞ。」 その時、華里奈が先陣切って歩き出した。 「ん?」 「ん?じゃないだろう、馬鹿が。訓練区の下見を射撃だけで終わらせるつもりか。」 「…あ…そうだな、行こう。」 危ない危ない。わざわざここに足を運んだ理由すらも忘れていた。 華里奈に続いて訓練区を回ると色々な部屋が見受けられた。 柔道場に爆弾系統実技訓練室、赤外線ゴーグルを使っての訓練を行う真っ暗な訓練室など、数えればキリがない。 続いて華里奈が入った部屋は、いかにも武道の鍛練場という雰囲気の部屋だった。 木の床に白い壁。まるで剣道場のような。 「ここは私専用の訓練室。お前には見せる必要なかったかもしれない。」 「華里奈専用?それってどういう…。」 「ここで唯一刀を使う私のために用意された部屋だ。」 そう言いながら壁に立て掛けられている棒を掴む華里奈。 いや、棒ではない。 鞘に納められた…日本刀だ。 華里奈はそれを腰に携えた。 「な、なぁ、その刀…本物なのか?」 「…そうだが?」 柄を掴み、鞘から刀を引き抜く華里奈。 蛍光灯の光をまばゆく反射させるその長い刃は…何か、恐怖感を煽るような…そんなオーラを発しているように感じられた。
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