共闘グループ

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  「………んぁ…。」 重い瞼を開く。まず最初に視界に飛び込んで来たのは、訓練区のただっ広い天井だった。 上半身を持ち上げムクリと起き上がる守。 どうやらベンチの上で寝込んでいたようだ。 見ると薄い毛布が掛けられている。 「…確かトレーニング始めようとして……あれ…その後…。」 首を回して今度は自分が寝落ちする前に使おうとしていた無数のトレーニング器具が置いてある方を見てみる。 すると既にそれらを使って身体を鍛えようとしている者が数人見受けられた。訓練生だろうか。 それにしても寝る直前の出来事が断片的にしか思い出せない。確か華里奈と話してトレーニング始めて……華里奈? そういえば華里奈はどこへ行ったのだろう。全く見当たらない。自室に戻ったのか? しかし当然と言えば当然だ。あれでも女性。こんな場所で寝るのは気が進まない筈。 ……1人で帰れればの話だが…。 しかし、 「やっと起きたか、椎羅木。」 「ぅおぃ!?」 背後から突然呼び掛けられた。 その声の主は…華里奈。 「お…おう…びっくりした…。」 「今のどこに驚く要素がある。」 華里奈は半ば呆れたという感じに溜息を吐き、守の隣に座り込んだ。 「一分一秒も無駄にしたくないとはよく言えたものだ。結局トレーニング開始から10秒足らずで寝ているのにな。」 え? 「マジ?」 「大マジだ馬鹿者。私がいなければ今頃トレーニング台の上で寝ていたな。」 …気をつけます。 …ん?という事は俺をベンチに運んだり毛布架けてくれたりしたのは華里奈?意外に優しいところもあったり…。 それと何と無く気になる事が1つ。 「そういやちゃんと部屋には帰れたのか?」 「…何を言い出すかと思えばそんな事か。」 華里奈は愚問だなと言いたそうな表情になった。 「そんな訳無いだろう。」 ………へ? 「向こうのベンチで寝た。私1人で帰るとなれば日が昇ってしまうからな。」 「………。」 何だろう。この罪悪感。 …胸…痛いな…。
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