共闘グループ

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とりあえずこの図をビリビリに破り捨て、勘に任せて歩く。 そして案の定、 「…迷ったか?」 と、華里奈が言い放った。 そして勿論、守の返答は… 「…迷ったな。」 駄目だ。この施設を回るには俺と華里奈では危険過ぎる。 いつの日か迷いに迷い…餓死なんてことも…。 その時、 「あら、もう起きてたの。早いのね。」 天から送られた助け舟(本田)が現れた。 「た、助かった…。」 胸を撫で下ろす守。 それにより、本田は今の状況を瞬時に理解した。 「また迷ったのね…どこに行きたいの?案内するわ。」 守と華里奈を連れてもくもくと廊下を迷う事なく歩いていく。 特に目印になるような物も全く無いというのに…長年ここで過ごしたからだろうか。 自分達と違い本田は大人という事もあり、信頼のおける存在だ。 「椎羅木君。」 突然、本田が口を開いた。 「ん?」 「やっぱり、私達の仲間になる気なの?あなたは。」 予想はしていた質問。 昨日とは違い返答に戸惑う必要は無い。 「………ああ。」 すると本田は小さな溜息を吐いた。何か…不満があるようだ。 「気が変わるなんて事は?」 「無い。もう決めた。今日から特訓だって始めるつもりだしな。」 「………そう。」 結局、完全に巻き込んでしまった。 今更何を言っても無駄に終わるだろう。 ならば…仕方がない…。 大人として、先輩として、何より巻き込んでしまった身として、全力で助けてあげなくては。 それが自分に貸せられた、義務。 「…着いたわ。」 気が付くと目前には、食堂へ繋がるガラス扉があった。
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