共闘グループ

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「では私はお先に。古賀殿、8時出動ですから遅れないようにお願いしますよ。」 「分かってるよ。じゃ、後で。」 坪内は古賀に別れを告げると踵を返して去っていった。 「それと守君。お姉さんに報告すべき事があるんじゃないのかい?君の口から。」 「……あぁ、そうだったな。」 姉である舞に報告しなければならない事。 忘れていた訳じゃない。言い出せなかっただけだ。 「姉貴。俺、やっぱりここの一員になる事に決めた。」 反対されるのも罵られるのも覚悟している。 だが、舞の返答は意外なものだった。 「……そう…。………別に良いんじゃない?あんたが決めたなら。」 「……へ?」 「私には、あんたの決めた生き方にケチつける権利は無いよ。復讐でも何でも良いけど、せいぜい頑張りなさい。」 他人事のような物言い。 半ば呆れられているよう感じさえする。 ……いや、違う。 「でもこれだけは忘れちゃ駄目。私にとっての家族は、もう…あんたしかいない。あんたにまで死なれたら…私…。」 涙こそ流さないものの、その表情からは…言葉では言い表せ無いような不安が込み上げて来ているのが嫌でも分かった。 「大丈夫だって、お嬢さん。守君は絶対死なないからさ。…な?」 「え?……ああ。」 …そうだ。俺は断じて死ぬつもりは無い。 「奴らを潰して、元の日常に戻るまでは絶対に生き残ってやるよ。」 「…守…。」 僅かに、本当に僅かに舞の表情に明るさが灯る。
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