29147人が本棚に入れています
本棚に追加
「椎羅木、こんな時間になんの用だ?」
「……………。」
答えられなかった。いや、高田の声は耳に入らなかった。
守の意識はある一点に集中している。高田の右手に握られている黒い物体に。
「高田先生……その…右手に持っている物は…?」
「あ?これか?」
高田はそう言って黒い物体を掲げた。
「拳銃…!」
それはどこから見ても拳銃だ。
「あんれぇ~。見られちゃったかぁ~。」
高田はニヤニヤ笑っている。
「本当に……銃…?」
と、舞。突然の展開に酔いが一気に覚めたようだ。
「馬鹿!おもちゃに決まってるだろ!教師が銃なんか持ってるわけが…!」
「くはははっ…!何の用か知らんが、大人しく家にいれば死なずに済んだのになあ!!」
拳銃をこちらに向ける高田を見て悟った。これが高田の本性だ。
そして、
ダァン!!………
引き金が引かれた。
ドサッ…
人が倒れる音……
倒れたのは……
高田だ。
「な…。」
「ひっ……。」
高田は頭を撃ち抜かれたようだ。額に穴が開き血が噴き出している。
「ぁ……あ…………きゃああああああああああああ!!!!!」
舞が甲高い悲鳴をあげた。
生き絶えた高田の後ろに立っているのは……。
武谷 洋子だった。
最初のコメントを投稿しよう!