共闘グループ

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病棟区 Jー01 診療室 「よう伊乃ちゃん!」 ドアを思い切り開け放ち、古賀が入室した。 極普通の診療所にありそうな風景。 ドア付近にはここの医師に診てもらおうとする患者達が待つための椅子が並べられていた。 少し奥には白カーテンが閉められており、更に奥に広がっている診療室を一望することは不可能となっている。 「伊乃ちゃーん。ちょっと用あるんだけどー。」 まるでやまびこをするように口に手を当てる古賀。 シャッ するとカーテンが開かれ、1人の女性が現れた。 その女性は髪を金髪に染め、豊満としか言えない体を黒く薄い衣服で覆い、その上に白衣を纏っている。 眼鏡を着用しているためかとても大人びて見受けられた。 「古賀?何?もしかして出動直前に怪我でもしたの?」 「んなわけないでしょうが!お嬢さん、入った入った!」 古賀に背中を押され、舞が控え目な姿勢で入室した。 「ああ、その子。じゃあ着いて来て。診てあげるから。」 舞がどこか悪いと思い込んだのだろう。手首を掴みカーテンの向こうへ連れていこうとする。 しかし、 「あ、ち、違うんです!私…!」 「え?………じゃあ、何しにここまで来たの?」  怪我や風邪でなければ何のために診療室に来たのか。その答えは実に意外なものだった。 「こ、ここで働かせてください!お願いします!」 「…えぇ!?」 拍子抜けした返事。 何を言ってるんだこの娘は。コンビニのバイトじゃないんだぞ。 「そんな事いきなり…。そもそも君に医療知識なんてあるの?」 「通ってた大学では医学部だったんで……少しは…。」 「ふーん…。ま、良いんじゃないの?」 「………はい?」 実にあっさり…。拒否された場合、どのように抗議すべきか思考を凝らしていたのだが…、肩透かしを喰らった気分だ。 「人手不足で困ってたの。私は伊乃 絵梨(いの えり)。ちゃんと働いてくれないと速攻クビだからね。」 「は、はい!よろしくお願いします!」 私は私なりに頑張ってみる。 だから、守。お母さんの仇を取ると…復讐すると言った以上、絶対に諦めるんじゃないよ。 出来る限り、力になるから。
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