攻防

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午前8時30分 東京 某所  裏路地 《ザザッ…こち…ガッ…A班…。捜…状況…ザッ…報せ…ガガッ》 ノイズと共に無線から音声が流れる。それに気付いた黒服を身に纏った男は無線を手に取り、口元へと運んだ。 「こちらD班。未だ進展なし。捜索範囲が広すぎる。応援を要請する。」 《ピー…ザザッ…了か…。至急B…わせ…ガッ……そこ…待機…ザザッ…》 「了…。」 了解。そう言おうとした、瞬間。 ズダダダダ! 銃声。 「かぁぐッ…!」 ……ドサッ… 《…ザザッ…どうし…ガッ……応答…ろ…応答『ダァン!!』 再び銃声。弾丸が無線を撃ち抜き、音声とノイズが無に帰した。 無線を手にしていた男は背中に複数の弾痕を空けて倒れている。微かに息があるようだが、致命傷だ。 そこへ歩み寄る2人の人物。それぞれサブマシンガンと拳銃を所持していた。 「一丁上がり!」 サブマシンガンを得物としている人物は古賀だ。 男が無線での連絡に夢中になっている隙に背後から射撃したのだ。 「随分近くまで来てたのね。本部の場所気付かれてないかしらね?」 その隣には拳銃を両手で握り締めている本田が。無線を撃ち抜いたのは彼女だ。 「…!隠れろ!」 古賀が言うが先か動くが先か、古賀と本田は反射的に近くに放置されていた看板の影に転がり込んだ。 刹那 ダァン!!ズダダダダダダ!ダァン!ダァン!! 銃声が喧しく連続して鳴り響く。 弾丸は殆どが2人が隠れている看板に命中した。 先程の銃声を聞き付けて、男の仲間が駆け付けたに違いない。人数は3人。1人はマシンガンを、2人は拳銃を所持している。 「チッ…!まずったな…!」 古賀は舌打ちを1つし、サブマシンガンを握る腕だけを看板から覗かせ、引き金を引いた。
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