攻防

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だが正確に狙いを定めずに命中する程甘くはない。壁に当たり火花を散らしただけだった。 「くそっ…!狙いずれぇ!」 下手に身を乗り出しては鉛玉を喰らってホトケになる危険性が高い。このまま様子を伺ってチャンスを待つべきか。 そもそも路地というのは弾避けになる物が少ない上に造りが単純だ。今のような状況に陥ってしまっては膠着状態が続くだろう。 しかし今は時間が無い。何としても敵に本部を発見される前に状況を打開しなくては。 「古賀君。こんな状況だからって手榴弾は使わないようにね。」 と、まるで我が子に言い聞かせるように言う本田。 ダァン!! 敵からの発砲。看板に命中した。 「…こんな状況でもかい?」 「もちろん。」 「…なら、仕方ないな。」 古賀はサブマシンガンをその場に置き、両手を挙げて立ち上がった。 「………!」 古賀達を狙っている男はその行動を見てマシンガンを下げた。 武器を捨てて両手を挙げる。これは降参に他ならない。 古賀に続いて本田も降参の姿勢を表す事を確認すると、ゆっくりと2人へ接近して行った。 拳銃を握っている男2人はその間も警戒を怠らない。銃を下ろしはしなかった。 「…投降か?」 「まあ、そんな所だな。」 ゆっくり、ゆっくり接近してくる男達。 そして手を伸ばせば届く距離にまで接近した、その時、 ダァン!! 「…ぁ…!」 拳銃を構えていた男の額に穴が開く。 本田が予備として襟首の中に隠し持っていた拳銃を素早く抜き、撃ったのだ。 「何…!」 あまりに突然の事に一瞬の隙を見せる男達。このチャンスを逃す手など有りはしない。 ゴッ…! 「ぅがッ…!」 古賀は1番近くのマシンガンを持つ男に銃口を向けられる前に拳を顔面に叩き込む。 ほぼ同時に男の手から力付くでマシンガンを引ったくった。 するともう1人の拳銃を掴んでいる男が古賀を撃とうと銃口を向ける。だが、 ダァン!! 引き金を引いたのはまたもや本田だった。弾丸が男のこめかみを突き破る。 そして、即死した。 古賀は引ったくったマシンガンを最後に残った男の左胸に突き付け、 「ま…待っ…!」 ズダダッ!! 心臓を撃ち抜いた。
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