攻防

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「危ない危ない…。ナイスだ、智子ちゃん。」 古賀はマシンガンをその場に捨て、看板の裏に置いたサブマシンガンを拾い上げた。 「あんな雑魚どうって事ないわ。」 そう言って本田は先程取り出した拳銃を降ろす。 安全装置を解除せずに発砲したところを見るとリボルバー式の拳銃のようだ。 それを再び服の中へ隠した。 「早く行きましょう。ぐずぐずしてられないわ。」 「はいよ。坪内と木村とはどこで合流すんだ?」 「敵の拠点が分かり次第連絡入れるそうよ。それまで私達は路地中を虱潰しに歩き回るだけよ。」 まったくもって地味な事で…という言葉を飲み込み、渋々歩き出す古賀。 愚痴を零したところで何になる訳ではない。 「さて、どうしますかね?」 本部を挟み古賀達とは反対方向の路地にはショットガンを両手に携えた坪内がいた。 曲がり角の影に隠れているため発見はされていないが、道なりに進んだ所には5人の黒服の男が。 「どうする?一発勝負で突っ込んでみっか?」 坪内の側には拳銃を一丁その手に握っている戦闘員、葉山の姿があった。 「あっちはマシンガンを所持している上に、ここからは大分距離があります。むやみやたらに突っ込んだら…。」 「わぁってらぁ。ジョークだよジョーク。」 普通、このような命懸けの状況でジョークなど言えるものだろうか。 現場慣れとはある意味恐ろしい。 その時。 《聞こえますか?坪内さん。木村です。》 坪内の無線にノイズが無く実に聞き取りやすい音声が流れ込む。戦闘員、木村だ。 「坪内だ。どうした。」 《今、屋根の上からそちらの状況を把握しました。援護します。》
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